GS1データバー

GS1データバーとは

GS1データバーは、GS1標準シンボルのなかで、最も新しい一次元シンボルです。GS1データバーは全部で7種類あり、小売業の定置式レーザーPOSスキャナで読み取れるように設計されているものが4種類、タッチ式CCDスキャナなどのハンディスキャナでないと読み取れないものが3種類あります。
新しい符号化理論を用いており、EAN(JAN)、UPCシンボルと比較すると、同じ量のデータをより小さいスペースで表現できるという特徴があります。また、GS1-128シンボルと同様に、GS1アプリケーション識別子で表した情報項目を符号化しますが、GTINのみを表すものとGTIN以外のデータも符号化できるものがあります。
GS1データバーは開発当初はRSS(Reduced Space Symbology=省スペースシンボル)と呼ばれていましたが、2007年2月に現在のGS1データバーに名称が変更されました。GS1データバーの技術規格は、2006年にISO/IEC24724として国際標準化され、2011年3月には名称変更も含め、国際規格が改訂されて11年版として公開されまし。また、2012年2月には、日本工業規格「JIS X 0509 バーコードシンボル体系仕様 GS1データバー規格」として成立しています。

GS1データバーの各種シンボルとその特徴

GS1データバーには、以下の3タイプ7種類のシンボルがあります。

  • ①GTINのみを符号化するタイプ(4種類)
  • ②14桁で表示したGTINの先頭一桁が0か1のGTINのみを符号化する制約付きのタイプ(1種類)
  • ③GTIN以外の属性情報を符号化するタイプ(2種類)

①のうち、GS1 データバー標準型と、これを二段に重ねたGS1 データバー標準二層型が、定置式レーザーPOSスキャナでの読み取りに対応しています。GS1データバーカット型と二層型は、サイズが非常に小さく、ハンディスキャナでないと読取れません。
②はGS1データバー限定型です。14桁で表示したGTINの先頭の一桁の値が0か1に限って符号化できます。
③はGS1データバー拡張型と、これを多段に重ねたGS1データバー拡張多層型の2種類です。どちらもGTINに加えて、商品の属性情報の符号化が可能で、定置式レーザーPOSスキャナで読取ることができます。POSで商品の賞味期限やロット番号、重量その他の属性情報の読取りを可能にするため、これらの情報を活用した新しいソリューションの可能性が広がっています。

図表 各種GS1データバーの特徴(シンボル見本は実寸法ではありません)

シンボル図 シンボル名称と特長
1. 定置式POSで利用するGS1データバー
① GS1データバー 標準型 (オムニディレクショナル)

GS1データバーの基本形で、GTINのみを表示。

② GS1データバー 標準二層型(スタック・オムニディレクショナル)

GTINのみを表示。球面体など、横幅がとりにくい商品への利用を想定し、データバー標準型を2段にしたシンボル。

③ GS1データバー 拡張型 (エクスパンデッド)

GTINと属性情報を表示する。
物流用のGS1-128と同様、有効期限やロット番号等、属性情報も表示が可能。
最大で数字74桁または英字41文字を格納する。

④ GS1データバー 拡張多層型(エクスパンデッド・スタック)

GTINと属性情報を表示する。
GS1-128と同様に有効期限やロット番号等、属性情報も表示が可能。GS1 データバー拡張型を多段にしたもの。
最大で数字74桁または英字41文字を格納し、最大の段数は11段。

2. その他の限定環境で利用するGS1データバー
⑤ GS1データバー 限定型 (リミテッド)

GTINを表示。14桁表示のGTINの先頭一桁が“0”または“1”の場合のみ使用可能。

⑥ GS1データバー カット型 (トランケート)

GTINを表示。
上下幅が狭くて比較的左右幅に余白がある、超小型商品に使用。

⑦ GS1データバー 二層型 (スタック)

GTINを表示。横幅、高さともに制限のある、超小型商品に使用。

(*1):Xはシンボルのモジュール幅を表す

GS1データバーの各分野での利用

①一般消費財分野

一般消費財分野では、定置式レーザーPOSスキャナで読取ることができる4種類のシンボルの利用が期待されています。許容されるシンボルサイズは、現行のJANシンボルやUPCシンボルと同じくモジュール幅0.33mmを基本とし、この0.8倍から1.25倍の範囲(最大0.41mm)で縮小・拡大が認められています。
GS1では、14年からGS1データバーを誰が表示してどこに流通させてもよいオープンな標準とするべく環境整備を行っており、海外では先行して、さまざまな取り組みが行われています。

  • 1)バラ売り青果のソースマーキング
    北米では、省スペースで青果などの球体の形状のものにも貼付しやすいGS1データバー標準二層型によるソースマーキングが始まっており、POSレジでの精算の正確化、効率化に加えて、商品管理や売上管理の高度化、トレーサビリティの実現にも役立っています。
  • 2)クーポンへの活用
    メーカーが発行するクーポンの活用が盛んな北米では、GS1データバー拡張多層型を採用し、70桁までのクーポン用データを業界として標準化した。これにより、さまざまな購入条件に応じた多様なクーポンサービスを実現する、データ拡張性の高いクーポン設計が可能になっています。
  • 3)計量商品への属性情報の表示
    欧州では、精肉その他の生鮮の計量品に、商品識別コードと重量や価格、販売期限日などのデータをGS1データバー拡張型に表示して、生産管理や販売管理に役立てようとする企業が増えてきており、ベルギー、オランダ、オーストリア、ドイツ、ポーランド等では実稼働も始まっています。
  • 4)日付情報を利用した自動値引き
    品質保持期限日や製造・加工日等の日付情報を表示したGS1データバー拡張型を値引き設定に活用し、期限の迫った商品の販売を促進により商品廃棄を減らす試みも、各国で行われています。韓国の大手小売業などでも準備が進められています。
  • 5)電子タグデータのバックアップ
    アパレル商品などに電子タグの利用が広まってきており、フランスなど欧州の一部の国では、EPCタグのバックアップとして、商品識別コードとシリアル番号を表示して利用する動きも出てきています。

当センターも、国内小売業に対して、機器更新の際にはGS1データバー対応型の機器を選択されるよう強く推奨しており、ここ数年の間に、少しずつGS1データバー対応型機器への入れ替えが進み、ハードウェア環境は徐々に整ってきています。ただ、現時点では、国内小売業がGS1データバーを読み取って処理を行う状況には至っていません。
GS1データバーが標準に加わった後も、これまで商品のマーキングに使われてきたJANシンボルは、引き続き使用可能です。GS1データバーは、JANシンボルやUPCシンボルに代わるものではなく、追加の選択肢として加わるものです。商品識別コード以外の情報が必要なく、表示スペース面でも問題がない場合には、現在のJANシンボルによる表示から、あえてGS1データバーに切り替える必要はありません。

②ヘルスケア分野

GS1データバー限定型および、GS1データバー二層型は、小型のヘルスケア製品に利用できるシンボルとして、GS1標準に規定されています。
日本国内でも、2006年に日本製薬団体連合会により、国内で流通する医療用医薬品にバーコード表示を行う際の「医療用医薬品新コード表示ガイドライン」が発表され、2008年からアンプル、バイアルおよび生物由来製品を中心に、調剤包装単位と販売包装単位にGS1データバー限定型、GS1データバー二層型、あるいはそれらの合成シンボルを表示することになりました。
2015年7月1日以降は、すべての医療用医薬品の調剤包装単位と販売包装単位について、GS1データバーの表示が行われています。


参考資料(これまでの国内のGS1データバー検討報告書等)

TOP