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株式会社ヤクルト本社様での流通BMS導入

 今、世界38の国と地域で飲まれているヤクルト。ヤクルトをはじめとする乳製品は、国内・海外あわせて毎日3,900万本※が販売されています。(※平成29年度実績)
 株式会社ヤクルト本社様では日々変化する流通に迅速に対応するため、2009年から流通BMS対応EDIシステムを導入し、現在では105社と流通BMSによるEDIを実施しています。今回はその取り組み概要をご紹介いたします。

株式会社 ヤクルト本社

【会社概要】

名称 株式会社ヤクルト本社
設立年月日 昭和30年4月
資本金 311億円
年商 単体1,788億円、連結3,783億円(平成29年3月期)
従業員数 2,860名
事業所数 8本部、5支店、1研究所、7工場、10医薬支店、13物流センター
国内販売会社 103社、YL(ヤクルトレディ)センター2,500カ所
主な事業 乳製品、食品、化粧品、健食、医薬品等の製造・販売
URL http://www.yakult.co.jp/

導入の背景

 ヤクルト本社さまは1980年代からEOSの仕組みを構築。2003年からはUNIXベースで量販店システムを再構築し、対応を進めてきました。量販店側からの、VAN会社・通信プロトコル・ファイルレイアウト・帳票デザイン・配信時間の変更をはじめ、企業統合に伴う取引先CD、体制の変更、請求・支払通知のオンライン化への対応など、さまざまな要求に柔軟に応え、取引拡大に努めてきましたが、そうした結果、集配信にかかわる手入力作業も増大。EOS作業にかかわる人的作業のIT化・自動化が求められていました。また、2007年4月に制定された流通BMSについてもデータの高速化、開発の容易さに注目し、情報を集め、大手量販店が流通BMS対応を始めた2008年後半からEDIシステムの流通BMS対応化プロジェクトをスタートしました。

導入の経緯

 ヤクルト本社さまは流通BMS対応に安価なオープン系のパッケージソフトである「EOS名人.NET」(開発元:ユーザックシステム)を選定しました。「日配品」である乳製品のEDIシステムでは停止することが許されません、今までは信頼性の高いUNIXベースでEDIシステムを構築していましたが、導入・運用のコストも高いものでした。このプロジェクトでは管理機能はUNIXで、データの入り口となる通信・変換機能を「EOS名人.NET」で構築することで、高信頼性とコスト低減の両立を実現しました。

 また、標準で流通BMSに対応し、レガシーEDIの開発機能も備えた「EOS名人.NET」だからこそ、ハードウェアの更新スケジュール、量販店からの流通BMS対応要請のスケジュールに合わせた6ヶ月間という短期間でレガシーEDIも合わせて300社以上のEDI移行を実現できました。




採用IT企業名:ユーザックシステム株式会社
採用パッケージ詳細URL:
https://www.usknet.com/services/eos/

導入時の注意点

 導入時に最も注意したことはインフラの設計になります。UNIXで運用してきたEDIシステムをオープン系へ変更すること、また流通BMSという新たなフォーマットへの対応にどれだけのリソースが必要なのか、現在の取引先・レコード数などのデータを計算センター、運用担当ベンダー、及びパッケージメーカーのユーザックシステムと議論を重ねてサーバ構成を決定しました。最終的には4台のサーバで並行処理を行うことで、大規模なサーバと同等のEDI処理を実現しています。
 もう一つの問題は200社/500本以上の個別プログラムで構成されているレガシーEDI対応の量販店のメッセージ変換プログラムの移行です。基本的にUNIXからオープン系への移行なので改めてプログラムを作成することになりますが、開発工数を3人日/本としても1500人日以上必要になります。こちらについては2日間の合宿でEOS名人開発講習を受け、最終的には6人の開発メンバーにより約6ヶ月間で開発が完了しました。工数にすると1.5人日/本となり、開発工数の半減に成功しました。

流通BMS対応システムを導入して


 2009年に2社10メッセージから始めた流通BMSは2018年には105社429メッセージに増加し、ヤクルト本社さまEDI全体の約50%を占めています。いち早くEDIシステム全体を流通BMS対応にしたことでGMS各社の流通BMS化に余裕を持って対応でき、導入のノウハウも蓄積され、ますます流通BMSへの対応が容易になりました。流通BMSは多少の方言はあれどもinputが統一されていることは大きなメリットで新規の取引先についても既存の変換機能をベースに修正を加えるだけで対応が可能となり、開発工数・カットオーバーまでの時間が大幅に短縮されます。2018年になってもまだまだ流通BMS要請がありますが、その対応は非常に簡素化され、現在9社の流通BMS要請を並行して対応を進めています。流通BMSの共通性が開発に余裕を生んでいます。

更なる効率化に向けて

 ヤクルト本社さまでは店舗別の発注データを受け、グループ内のエリア単位の売上情報を把握するための処理も行っています。納入センター単位の総量の発注データではなく、店舗ごとの発注明細データである流通BMSは振り分け処理の工数も削減されます。また、現在レガシーEDI用の通信機器も不要になれば、EDIサーバ全体の仮想化も現実的になり、ハードウェア保守管理工数も削減できます。
 このように流通BMS対応の取引先が増えれば業務の効率化が進みますので、ヤクルト本社さまでは取引先に対して流通BMSへの切替を積極的に提案していく方針です。




寄稿者:ユーザックシステム株式会社 早野 聡