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報告・レポート

流通BMSセミナー in リテールテックジャパン2016
流通BMSで取組む通信回線変革への対応と店舗システム自動化

 3月10日のセミナー「流通システム標準化の最新動向」で、NTT東日本による回線網移行についての説明、事務局から流通BMSの最新動向、ベイシアより小売事例の紹介をを行った。
 当セミナーは、毎年3月に開催されるリテールテック JAPAN の1企画として、毎年、流通システム開発センターが主催しており、その1セッションとして実施した。
 以下、セミナーでの一部講師の講演要旨を紹介する。


セミナー会場風景:2016年3月10日 東京ビッグサイト会議棟

リテールテックJAPAN 2016 セミナー(3/10午前)-流通システム標準化の最新動向― プログラム

テーマ 講師
「INSネット(ISDN)データ通信」終了に向けた
IPへの移行について
NTT東日本
 ビジネス開発本部 第一部門
 ネットワークサービス担当 担当課長

山内 健雅 氏

流通BMS最新動向 流通BMS協議会 事務局
 流通システム開発センター
 ソリューション第2部 新規事業グループ

根岸 大介

店舗システム自動化
~生産性向上に向けた取り組みの一例~
株式会社ベイシア
 流通技術研究所 所長

重田 憲司 氏

「INSネット(ISDN)データ通信」終了に向けたIPへの移行について

NTT東日本
ビジネス開発本部 第一部門
ネットワークサービス担当 担当課長 山内 健雅 氏

固定電話からIP電話への移行が進み、さらに携帯電話の利用が増加。世の中のトレンドを考えてNTTグループではコアネットワークのIP化とアクセスの光化を進める。
「もしもしはいはい」の音声通話は維持していく予定。しかし、利用者減少や維持困難なサービスは2020年度後半に終了する予定。例えばISDNもその1つ。ディジタル通信モードのデータで通信するものは廃止する。EDIの他、POSレジ、クレジットカード、電子マネーの端末などもISDNを利用しているものがあるため影響が出てくるINSネットの契約状況や、実際に接続されているかなどを確認し、今のうちに変更準備をしていただきたい。流通業界は技術革新が進んでいる。投資のタイミングなどではこういったことも踏まえた対応を検討いただきたい。

流通BMS最新動向

流通BMS協議会 事務局
流通システム開発センター ソリューション第2部 新規事業グループ
根岸 大介

 INSネットディジタル通信モードを利用するEDIはインターネットなどの手順に変更しないと通信ができなくなる。また、アナログ通信を利用しているものについては、通信網に入る際に変換装置でIP化され、出るときにアナログに戻す必要があるため、2回変換をすることになる。このため、伝送品質が保てない可能性が高い。電話は聞き直せばよいが、データ通信は1つ欠けてもエラーなどとなる可能性が高く、影響は大きい。リース契約の期間等にも注意し、早目の流通BMSへの移行をお願いしたい。

店舗システム自動化 ~生産性向上に向けた取り組みの一例~

株式会社ベイシア
流通技術研究所 所長
重田 憲司 氏

店舗のシステム自動化、生産性向上の事例を紹介したい。
ベイシアは福島から滋賀県に展開しているスーパーマーケット。その他、ホームセンターや専門店など30社からなるベイシアグループの1つ。「For the Customers(お客様のために)」を経営理念とし、ローコストオペレーションを目指している。
店舗作業の効率化として取り組んでいる5つを紹介する。その5つは「商品陳列」、「クリンリネス」、「発注」、「チェックアウト」、「バックオフィス」である。
データ精度の向上を目指してベイシア、カインズ、ワークマンで流通BMSを導入した。グループで4割稼働中。3割が調整中といった状況。取引ボリュームが小さいところが残っている。流通BMSの方針に準拠したWeb-EDIの活用も考えている。これを基盤として自動補充発注につなげている。事前出荷データで単品在庫の精度を上げ、欠品によって生じてしまう処理のタイムラグが無くなったことも大きい。自動発注の対象は住関連全般、家電、スポーツ用品の一部などを対象としている。需要予測型を採用し、基準在庫に需要予測を反映。PBなどはフェースを多くとって売り込んでいくというものについては過去実績では分からないため、最大在庫数を上げるなどの考慮も行っている。指数平滑予測や特売ウェイト、季節性予測などを組み合わせている。実績と予測を照らし合わせてあっているものを自動的に反映していくといったロジックも一部動かしている。
効率化の取り組みの2つ目としてチェックアウト業務がある。当社では1+2(3人以上待たせない)を基準に80%達成を目標に掲げている。達成のためにセミセルフレジを活用するのではなく、レジの開閉を調整している。店内の状況を把握し、店員が持つPDAに必要な稼働レジ数を通達している。しかし、品出し作業を途中でやめるといった行為は店員にストレスを与えてしまう。以前はレジスケジュールを30分単位で組んでいたが、30分の中でも混雑状況は異なり、適切にレジを開閉するのは非常に困難だった。混雑していてからでは遅く、混む前に呼ぶ仕組みで解消した。カメラで店内を撮影し、同じ売上で同じ時間で比較して改善された結果も証明した。顧客満足度のアップにつながっていると考えている。セミセルフによる改善も証明されているが、それだけでは不十分である。必要な台数を割り当てられているかどうかも重要である。
3つ目はバックオフィス業務の改善である。フロントオフィスは現金の移動距離が短いというメリットがある。事務所業務のうち、清算の業務時間は意外と多い。これを改善するため入出金機を投入し、本部で店舗の現金管理を全て行う取り組みを実施している。新店で導入した結果、6名必要だったところが3名で対応できた。同様の取り組みで鍵の管理なども本部側で管理できるように検討している。バックオフィス業務の効率化を進め、現在は年間3300万の削減効果を発揮している。