医療材料GS1-128システム

医療材料の標準化の必要性

医療材料メーカー、卸売業、医療機関三層の物流では、これまで医療材料の業界としての標準化がなされていなかった。このため企業及び医療機関が独自にシステム化を実施してきたが、各企業・医療機関の間で発生する物流・商取引の業務処理や商品の調査・管理などの作業は、原始的で膨大な人的作業に頼らざるを得ない状況にあった。
厚生労働省は、医療情報システム構築として医療の標準化と電子保存の検討を具体的に進め、1999年4月に「診療録等の電子媒体による保存について」を業界通知した。業界に対してFD(フロッピーディスク)による申請・報告・資料管理が推奨されている。電子政府(e-japan)の実現には、書類はFD等電子媒体が優先され、また電子カルテの実現や医療施設での安全性管理には商品のバーコード表示が必須条件となる。
一方、輸入医療材料は国内生産金額の過半数に達しており、国際標準との整合(グローバル・ハーモナイゼーション)は医療材料に関しても積極的に進めるべきである。商品コード・バーコード表示に関しては、国際EAN協会やUCC(米国コード管理機関)でバーコードの標準化が進められていた。欧州ではEUROHCS(欧州病院・診療所サプライ連合会)やEUCOMED(欧州医療機器 メーカー同盟)がGS1-128表示を標準と制定し、GS1-128は世界のヘルスケア業界の標準バーコードとなっている。

医療材料の標準化の必要性

医療材料の業界団体である日本医療機器関係団体協議会では、98年4月情報化検討委員会で「業界統一商品コードとしてJANコードを、医療材料への印刷表示としてGS1-128バーコードを採用とする」との業界決定を行った。
99年9月には業界の商流・物流のシステム化、院内物流コスト削減、患者の安全性確保、病院経営改善の視点から「医療材料 商品コード・GS1-128標準表示ガイドライン」を作成すると共に、医療材料マスターデータベース構築を開始した。
2000年7月、材料メーカー、卸売業、医療機関のサプライチェーンマネジメントをさらに具体的に推進するため、「医療材料 商品コード・GS1-128標準化運用基準マニュアル」を作成し、業界全体の情報化、システム化を拡大中である。
欧米の材料メーカー、販売会社の要請により輸出メーカーでは97年夏からGS1-128バーコードの表示対応を開始しており、メーカー・販売会社では対応の検討が進められている。

GS1-128による標準化の内容

基本体系

商品情報には、商品について可変的な情報と固定的な情報がある。この可変的情報は有効期限/使用期限、ロットナンバー/シリアルナンバー、数量など商品個々によって変わり得る情報であるため、商品に表示され常に商品と一緒に動くことが必須である。一方、固定的な情報は商品名、メーカー名、規格・価格、分類などである。可変情報は商品にバーコード表示することができ、固定的な情報はデータベースで情報交換ができる。業界の標準化の基本として

  1. 体系はJANコード体系を採用
  2. バーコードの表示はソースマーキングを前提に「GS1-128」を採用

とした。この関係を図解すると図-2のようになる。

図-2 情報体系図

基本項目

1.表示項目
表示項目は以下の4項目である。

(1) 商品コード (AI)= (01)
(2) 有効期限/使用期限 (AI)= (17)
(3) 数量(ケース内総入り数) (AI)= (30) ※
(4) ロットナンバー
または
シリアルナンバー
(AI)= (10)

(AI)= (21)
※個装(使用単位)の場合は数量表示は不要とする。

2.表示方法

図-3 GS1-128による表示方法

表示単位
  1. 外箱・中箱におけるバーコード表示を基本とする
  2. 個装(使用単位)については表示可能な範囲でバーコード表示を行う。

GS1-128バーコード表示の実施時期

GS1-128バーコード表示の内容および後述の表示項目の仕様にもとづき、商品への表示が可能な製造・輸入業の企業は、速やかに表示対応を実施すること。

個装(使用単位)表示のガイドライン

 医療材料GS1-128バーコードの個装表示については、各メーカーの自主的な判断に任せることを基本とするが、医療機関の要望と業界の実態から当面の対応ガイドラインとして次のようにする。

個装表示の対象

個装表示については、下記の5区分に基づく表示を基本とする。

区分1 インプラント(特定医療用具)用具
トラッキングが法的に義務付けされているもの。
区分2 リスクの高い医療用具
厚生労働省の医療用具クラス分類III、IV(高度管理医療機器)を中心にしたもの。
区分3 高額(償還価格2,000円以上を目安)な特定保険材料
区分4 区分1-3以外の滅菌材料
区分5 その他(区分1-4以外)の医療材料
表示アイテム

表示アイテム(項目)は、標準の4項目(商品コード(01)、有効期間(17)、数量(30)、ロットナンバー(10))に新たにシリアルナンバー(21)を追加する。個装表示に数量(30)は表示しなくてよいこととする。個装表示は商品コード(01)、有効期間(17)とロットナンバー(10)またはシリアルナンバー(21)のいずれかの3項目とする。なお、表示に3項目以上の表示を妨げるものではない。例えば、ロットナンバーとシリアルナンバー等の同時表示も可能とする。具体的に上記の5区分毎の表示項目数を示すと下記のようになる。

  • 区分1は3項目の表示を強く推奨する。
  • 区分2は3項目の表示を強く推奨する。
  • 区分3は3項目の表示を推奨する。
  • 区分4(上記区分1-3以外の滅菌医療材料)は3項目表示が望ましい。
  • 区分5は1項目、商品コード(01)のみが望ましい。2項目以上の表示を妨げるものではない。

医療材料業界のGS1-128利用メリット

業界全体
  • 医療機関・各企業の物流効率化
  • 情報の共有化と伝達の迅速化
医療機関
  • 患者の安全性確保
  • 発注・入出庫・在庫管理の簡素化と精度向上によるコスト削減
  • 独自任意の商品コード表示の廃止によるコスト削減
  • 医療材料の使用実績管理の実現、効率化
  • 院内業務経費の削減
  • 患者別の治療原価算定・保険請求漏れ防止の実現
  • 薬事法によるトレーサビリティシステムの構築、精度向上
製造・輸入業
  • 医療機関、卸・販売業者へのサービス向上
  • 有効期限管理・ロット管理・入出庫・在庫管理の精度向上
  • 輸入業における世界標準バーコードの利用による社内ラベル貼付作業の解消、コスト削減
  • 薬事法によるトレーサビリティシステムの構築、精度向上
卸・販売業
  • 受注・発注・入出庫・在庫・販売管理の簡素化と精度向上
  • 有効/使用期限・ロット番号管理の効率化
  • 物流管理コストの削減
  • 納期短縮の実現
行政
  • 統計等の事務処理の簡素化・合理化
  • 将来の安全情報(不具合・副作用情報)配信のための基盤づくり

 

「医療資材商品コード・GS1-128バーコード
標準化運用基準マニュアル 第4版」


(財)流通システム開発センター
160ページ 税込2,100円

さらに詳しい解説書が発行されています。
どうぞご利用ください。

 

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